2005年5月21日(土)

待つこと

午前中、奥さんが大学関係の用事ででかけてしまったので、ひとりで子供ふたりを連れて近所のM幼稚園の開放日に出かけた。天気もよくまた年度の初日ということもあって、かなりのひとでにぎわっていた。

参加するのは3度目。ここはヴァルドルフ教育を取り入れている幼稚園(表立っては言ってないけど)で上の子の候補だったりするので、やはりどんな感じなのかというのは気になるところ。で、気になることがあったり。

ちょうど活動の終わりに子どもたちに手作りのお菓子とお茶が振舞われる時間というのがあるのだけど、先生とボランティア(在園児のお母さん)の方々はその時間が来ると何事もなかったかのように机やおもちゃを片付けていすを円くを並べ始めるのです。「もうすぐお茶の時間です」とか「いすを並べましょう」とかそういうことはまったく言わない。で、並べ終わると子どもたちがみんなそこにすわってお菓子を待つのだけど、「じゃあみなさんでお菓子を食べましょう」とも言わない。ただやおら先生が歌を歌いはじめるのです。でも子どもたちはそれですぐ静かになるわけでもなく、ざわざわした感じのまましばらく時間が経ってようやく少しずつ少しずつ先生の歌が聞こえるようになって、やっと「あぁ何かが始まるんだ」と思って静かになるのです。ここで僕はふと「先生がひとこと『みんな用意できたかなー』とか言えばきっと静かになるのになー」と思った自分がいて、んでもってそういうやり方にすっかりはまっている自分というのがわかって、ひとり苦笑してしまいました。

ちなみにそのあとも「いただきます」を言うのもやっぱり歌を歌ってみんながお菓子をもらってさぁ食べようという気分になるのを待ってそれから「いただきます」が来るのですね。おそらく万事この調子なのではないかと思えるぐらいに。

子安美知子さんが著書で「ヴァルドルフ学校に入れるのは大変(親の)勇気が要ることです」というようなことを書かれていたような気がして、それがどういう勇気なのかというのは正直理解できなかったのだけど、今回の一件を通してちょっとわかったような気がしました。