2005年2月22日(火)

暗転の功罪

雲のむこう、約束の場所

というわけで、「雲のむこう、約束の場所」のDVDを観ました。劇場で観たときに気になっていた部分がいっぱいあったのでいろいろと注意して観ようかなと思っていたのですが、あらためて見直してみるといったいどこが気になってたんだっけ?という感じで、どっぷりと作品に浸ってしまいました。

劇場で気になっていた部分のひとつは、無音の暗転で場面が切り替わるところ。この暗転は、場面転換のモノローグの最後の部分がまったくの暗転になっていたり、逆に暗転してそのままモノローグから入った後にようやく次の場面が始まる、というような感じで、暗転時間が気持ち長いのです。もちろん意図された表現だと思うのですが、劇場で観ていたときには、この瞬間ふっと作品世界から現実の世界に戻されてしまう感じがしていまいち感がぬぐえませんでした。しかしこれがおうちで部屋をほとんど真っ暗にしてぽつんと座って見ていると、全然ちがっていて、実に効果的なのですね。

劇場の場合、真っ暗な映画館の椅子に座るというのは、ある意味日常体験の延長上でしかないのですが、真っ暗な部屋にぽつんと座るという状況はかなり非日常的な雰囲気を持っていいて、しかも映画館とちがっておうちならひとの気配はなく、まったくの静寂が時間を支配するわけです。意識的にせよそうでないにせよ、おそらくそういう意図はあって、やっぱりこの映画はおうちでひとりで観るものなんだなぁと思った次第です。

あと気づいたといえば。実はサユリは最初からヒロキが大好きだった、のかなとか。ヒロキの思いはともかくとして、サユリ自身にそういう強い感情があるというのは最後まであまり出てこないんですけど、もちろん突然出てきたわけはないので、やっぱり自分でも気づかない部分で以前からヒロキを意識してたのかなと。そういうふうに見ると、いろんなシーンでサユリたんの健気さとかいじらしさとかが見え隠れして結構に萌え転がれるんですよー(ぉ。「あんな女の子、いねーよ」と言ってしまえばそれまでだけど、新海さん曰く「初恋の憧れのひと」というイメージを完璧に描けてて、いいなーと思ってしまいます。