読書日記(海辺のモザイク)
by 鈴木 宏枝
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海辺のモザイク(うみべのもざいく)
原題(N/A)読んだ日2001.4.20
著者高田桂子(たかだけいこ)訳者(N/A)画家(N/A)
出版社てらいんく出版年月日2001.2.13原作出版年(N/A)
感想 てらいんくから出ているというのが、ちょっといいかも。表紙のウミネコの写真は、HPからの引用だそうで、本文とは全然関係ないところで、おもしろがる。
 日本のリアリズムの児童文学は、どうも落ち着かないことが多く、わずかでも、マスコミ的論調のムードが染みていると、本を放り投げたくなる。だから、主人公卓の登校拒否(後に図書室登校)、転校、疲れちゃった母さん、父さんの不倫、怪しげなグループに巻き込まれていく姉の明日香、などといったキーワードが、あらかじめ挙げられてしまうと、かなり、引いた状態で読み始めることになる。だけど、なかなかどうして、疑いつつ読んだわりにはおもしろかった。意外な展開と、定石の展開のバランスが悪くない。
 後半以降は、まさに、状況の多角化。家族の問題は、たしかに、それぞれ見方が違うものであり、それを「書く」にあたって、きちんとねじふせていると感じた。ただ、作法の試みのようなソフィスティケートぶりが、少し鼻につくかも。明日香の視点・明日香の一人称で書かれることの多いだろう明日香の物語を、卓の側から書いているのは、成功しているのではないかと思う。
 状況や心情がすごくリアルである一方で、ストーリーを読むおもしろさ、はやはり欠けているかなぁ。でもって、ほんとにのリアルは、本の外の私たちの現実にあるわけなのでは、と。じいちゃんと竜一の造形は、とても良い。けど、田舎こあい。  


鈴木 宏枝
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