読書日記(おとうさん おはなしして)
by 鈴木 宏枝
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おとうさん おはなしして(おとうさんおはなしして)
原題(N/A)読んだ日2001.3.14
著者佐野洋子(さのようこ)訳者(N/A)画家(N/A)
出版社理論社出版年月日1999.1原作出版年(N/A)
感想 ルルちゃんがお父さんに聞かせてもらうお話、お父さんに聞かせてあげるお話。クレヨンを握り、1枚の紙に向かって描き始めた絵が、ストーリーをもってどんどん広がり、どんどんごたまぜ状態になっていくような、ふくらみがある。嫌いなニンジンを「えいえいと」外に投げる勢いのよさ。おなかがすいて、どんどん自分を食べていったルルちゃんが、骸骨になって、風が吹いて、チリチリといい音がするところ。佐野洋子は、本当に、ピュアなのだと、じーんとしてしまった。
 架空の友だちを作って、西部劇ごっこをするのだけど、だんだん話が変わって、宝物を交換するところ。お互いに「一番」はあげられなくて「二番めに大事」をあげあってほっとする。あるよね、そういう感覚。
 最後は、架空の友だちと同じ姿のペペちゃんが隣に引っ越してくる話。ペペちゃんとどう遊ぼうかいろいろ考えるルルちゃんの、<おとうさん、ぼく、あしたいそがしいから、今日はおはなししなくてもいいよ>という一言。軽やかなそのワンステップに、ほんとに子どもを知っている人なんだなぁと、またしみじみしてしまった。
 連作短編のすべてが気にいったわけではないけど、本人の絵もいいし、「おはなし」ってこういう感じだよね、再確認。


鈴木 宏枝
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