読書日記(さよなら、「いい子」の魔法)
by 鈴木 宏枝
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さよなら、「いい子」の魔法(さよなら、いいこのまほう)
原題Ella Enchanted読んだ日2000.10.14
著者Gail Carson Levine(ゲイル・カーソン・レヴィン)訳者三辺律子画家(N/A)
出版社サンマーク出版出版年月日2000.10.20原作出版年1997
感想 主人公のエラは、誕生日に妖精からの贈り物で「服従」をもらってしまった。これは、命令されると何でも従わなければならない苦しみと、その「呪い」をどう破ったのかという物語。「シンデレラ」が下敷きになっていて、『逃れの森の魔女』を読んだときのような(話は全然違うけど)パロディの味を感じた。従順であることの大変さもさることながら、妖精の名付け親(台所の妖精)マンディが、いかにも昔風なてきぱきしたばあやという感じで、好きになった。エラがその愛ゆえに、苦しみ、そして呪いから放たれるきっかけになったシャー王子も、見る目があっていい。二人がかわす手紙もおもしろかった。
 現実の女の子のことを書いているようでいて、舞台には巨人や小人やエルフが出てくるファンタジー世界。そのバランスが最初は入りにくかったのだけど、慣れると上手な仕掛けとして機能してくる。エラは言葉に対して敏感で、よその国の言葉や妖精の言葉をすぐに真似してしゃべれるようになるのだけど、ノームの言葉は、ちょっと読みにくかった。
 ギャグになりそうなフィニシングスクールのエピソードや(これはもう少女小説のめくるめく世界である)、意地悪ハティとオリーヴのワルぶりもよく描けている。自分が結婚しているせいだろうか、シャーの求婚を愛ゆえに(「国」のことはおいといて)断わる部分で、胸がずきずきした。
 ふしぎなおもしろさがある。女性ということのシバリと快楽を一緒に味わえるような作品。ついでに日本の何人かの作家のことも、思い出した。


鈴木 宏枝
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