読書日記(春のオルガン)
by 鈴木 宏枝
[WebSite] Hiroe's Home Sweet Homepage

春のオルガン(はるのおるがん)
原題(N/A)読んだ日2000.9.7
著者湯本香樹実(ゆもとかずみ)訳者(N/A)画家(N/A)
出版社徳間書店出版年月日1995原作出版年(N/A)
感想 やっと読んだ。思っていたのとだいぶ印象が違った。「怪物」を様々に児童文学は描いているのだろうけれど、『春のオルガン』では、怪物のイメージやトモミの独白が、大人のそれで、ずいぶん直裁かつモノがよく分かっているように感じた。弟のテツのけなげなところがいい。猫のおばさんも重要人物だった。老人―子ども関係は、いつでも湯本香樹実のテーマなのだなぁ。おじいさんは、そのわけのわからなさがなかなかよくて、運動靴のエピソードは、私にもぐさっと響く迫力があった。大人になること、性を受け入れること、家庭をめぐる様々。明るすぎず暗すぎず、ちょっと不思議な読後感で、そんなにさわやかでもないし、物語というよりエピソードのようで、起承転結がぼやけてて、でも、登場人物の一人一人が心に残る作品。


鈴木 宏枝
[Mail] hiroe_ms@nifty.com

$Id: books.cgi,v 1.42 2010/09/23 08:35:15 yasutaka Exp yasutaka $