みねこさんの読書日記(走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!)
by みねこ
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走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!(はしれめるす しょうじょのくちびるからはだいなまいと!)
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原題 | (N/A) | 読んだ日 | 2005.1.13 | ||
著者 | 野田秀樹(のだひでき) | 訳者 | (N/A) | 画家 | (N/A) |
出版社 | 新潮社 | 出版年月日 | 2004.12.1 | 原作出版年 | (N/A) |
感想 | 観劇後、上演台本を読む。観た後に読む、ということで、舞台空間と身体表現とで言葉が意味を深め、新たな意味をはらみ、観ている者の想像力を喚起する、ということが実感できた。優れた絵本のテキストと絵の関係を思う。 今、ここにない何かに切なる憧れを抱き続ける芙蓉にこの戯曲がかかれた70年代半ばに読んでいた、北杜夫の本の扉に引用された「憧れを知るもののみ我が悩みをしらめ」という言葉やなだいなだの『しおれし花飾りのごとく』での繰り返し語られるのみで決して形にならない同人誌とそれをへめぐる人々が思い起こされたりする。そうしてふくらんだ思いを、凝縮、昇華させうる何かが野田の芝居にはある。 猥雑なもの、きわめて現世的なものをこれでもかとつめこんだ過剰なまでの言葉遊びの渦からふいにその中心に吸い込まれるような感じで芙蓉と共に「つかのまの向こう岸」にいるような、その感じ、に導く才を、享受してこられた幸せを上演台本を読み、その舞台を反芻しながら感じている。 |