読書日記(ミケルの庭)
by さかな

ミケルの庭(みけるのにわ)
☆
ISBN:4-10-125334-X
ID:1057628285
原題りかさん読んだ日2003.7.7
著者梨木香歩(なしきかほ)訳者(N/A)画家早川司寿乃
出版社新潮社文庫出版年月日2003.7.1原作出版年(N/A)
感想偕成社から出ていたいた『りかさん』が新潮社文庫に入る。併録されているのが、「ミケルの庭」。この読書日記では、書き下ろしの「ミケルの庭」についての感想を書くので、タイトルはこれ。梨木さんの本を読まれている方ならば、この「ミケルの庭」が『りかさん』の続編でもあり、『からくりからくさ』の続編でもあることがすぐわかるだろう。ミケルは赤ちゃん、女の子。1歳を2か月くらい。お母さんはマーガレット。そう『からくりからくさ』で出てくるマーガレット。『りかさん』に出てくる、蓉子さんも登場。蓉子のおばあちゃんが遺した古い家に、マーガレットもミケルも、そしてあの時の女性たちが住んでいる。染色して、機を織って。でもこれはあくまでもミケルの話。ミケルが世界に対して感じ始めた空気を語っている。語る言葉は私たちが今話ししているようなものではないけれど。マーガレットが短期留学で留守の間、3人の女性、蓉子、紀久、与希子がミケルの世話をする。ミケルは風邪をこじらせ、3人は……
私事だが、4月の中頃、2年生になったばかりの子どもが、桜の木から落ちて額の骨を折った。深く裂けて血まみれの子どもをみた時は、その裂けているところから骨がみえるのではと思えたほど。「救急車には乗りたくない」と泣き、傷口をシャワーで洗い流し、消毒し、少し横になった。1時間後、彼は吐き、私は自分の運転する車で夜間みてくれる、総合病院へ行った。幸い、形成外科の先生が夜間当番でいてくれ、「かなり深いので縫いますね、お母さんは外へ出てください」と言う。彼は泣き言も泣くこともなく、5針縫ってもらった。診察室へもう一度入った時に、おでこの腫れがひどいので、レントゲンを撮りますと言われた。そして、「折れてますね、頭蓋骨骨折です。一晩様子をみるために入院しましょう。いま、脳外科の先生をよんできます」と。入院の準備など何ももってきていず、かといって、1人おいて家に戻るわけにもいかず、そのまま案内された病室へ、ベッドへ。私の寝るところなどもちろんないので、子どもと一緒にベッドに入る。疲れきり、おでこから目にかけてひどく腫れている子どもはすぐに横になった。何度も何度も顔をみていた。朝になったらなおっていないかな、とばかみたいな事を考えたりもしたが、朝になってももちろんそのまま。夜中、「つかれたー」と寝言が聞こえた。
たまたまこの事で、仕事が遅れ説明のために怪我の話をしたところ、その人が、この話を読んでいて、「もうすぐ出る書き下ろし短篇にも出てくるけれど、なにか事が起こってしまったら、いくら後悔しても、もとに戻せない「いたたまれなさ」が、子育てにはついてまわりますね。」とメールをくださった。「結果オーライで楽天的に切り抜けていかなくては」と。
そう、この木から落ちた時は、まさにその数分前に私は子どもと会っていたのだ。図書館から戻り、家の近くの友だちの家の前で遊んでいる子どもに。「もうちょっと遊んでいていい?」と聞かれ、「いいよ」と答え、家に戻ったら電話が鳴ったのだ。ばかみたいだけれど、あの時一緒に帰ろうといえばよかったと後悔した。してもしかたのない後悔を。子どもは子どもで「お母さんと一緒に図書館へ行ってたらよかった。」とも言っていた。でもでも、まさしく結果オーライで、桜の木から落ちたことによって、彼は桜の木はやわらかい事を知り、「今度は梅の木に登る」と言って、そうしている。骨はちょっとボコっとしているけれど、髪でかくれるのであまりわからない。擦過傷のあとが少し残っているが、まあ、こんなものだろう。 で、本にもどる。解説もよかった。この解説は主に『りかさん』にあてられている。日本人形の専門家が書いているのだ。私も小さい頃、人形遊びをよくした。母や祖母に人形用の服もたくさん作ってもらった。みんな捨ててしまったけれど、たっぷり遊んだことはよく覚えている。楽しかったなあ。


さかな
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