読書日記(ホワイト・ピーク・ファーム)
by さかな
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ホワイト・ピーク・ファーム(ほわいと・ぴーく・ふぁーむ)
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原題 | White Peak Farm | 読んだ日 | 2003.1.20 | ||
著者 | Berlie Doherty(バーリー・ドハーティ) | 訳者 | 斉藤倫子 | 画家 | (N/A) |
出版社 | あすなろ書房 | 出版年月日 | 2002.12.10 | 原作出版年 | 1984 |
感想 | 骨太の物語だ。ピーター・ホリンデイルの『子どもと大人が出会う場所』にもこの本について書かれていると、やまねこの人から教わったので、『ホワイト・ピーク・ファーム』読了後、こちらも最初から読み通してみた。が、その話はあとで。 『ホワイト・ピーク・ファーム』は 農場に住む家族の物語。短気で自分を押し通す父親、だまって父親にしたがう母親、親ののぞまない結婚を実行する姉、絵の才能があるが跡継ぎという立場の兄、この物語の語り手であるジニー、そしてジニーと年のはなれた妹。短篇を連ねるように、章ごとに人生がある。はじめは祖母。これだけでも独立したお話のようだ、そしてこのお話が、のちの家族の心に種をまいている。いや、読み手にもその種はまかれるのかもしれない。祖母の印象的な言葉は、訳者のあとがきにも引用されている。「自分の内なる声に耳をかたむける」それは自分の声を聞くことにほかならないのだが、人の声を排除するものでもない。自分と話しをすることは、何よりも大事なのだということを伝えている。そうやって自分の生き方を選び取るのは、骨のおれること。でも、生きるということは、それなくしてはないのだと、この薄い本を閉じた時しみじみ思った。 しかし、表紙はないものとして読んだ方がいいと思う。どうしてこの物語にこういう絵がつくのだろう。残念。原書の表紙をみようとしたのだが、既に品切れ。 |