読書日記(ホワイト・ピーク・ファーム)
by さかな

ホワイト・ピーク・ファーム(ほわいと・ぴーく・ふぁーむ)
☆
ISBN:4-7515-2193-4
ID:1043127265
原題White Peak Farm読んだ日2003.1.20
著者Berlie Doherty(バーリー・ドハーティ)訳者斉藤倫子画家(N/A)
出版社あすなろ書房出版年月日2002.12.10原作出版年1984
感想骨太の物語だ。ピーター・ホリンデイルの『子どもと大人が出会う場所』にもこの本について書かれていると、やまねこの人から教わったので、『ホワイト・ピーク・ファーム』読了後、こちらも最初から読み通してみた。が、その話はあとで。
『ホワイト・ピーク・ファーム』は 農場に住む家族の物語。短気で自分を押し通す父親、だまって父親にしたがう母親、親ののぞまない結婚を実行する姉、絵の才能があるが跡継ぎという立場の兄、この物語の語り手であるジニー、そしてジニーと年のはなれた妹。短篇を連ねるように、章ごとに人生がある。はじめは祖母。これだけでも独立したお話のようだ、そしてこのお話が、のちの家族の心に種をまいている。いや、読み手にもその種はまかれるのかもしれない。祖母の印象的な言葉は、訳者のあとがきにも引用されている。「自分の内なる声に耳をかたむける」それは自分の声を聞くことにほかならないのだが、人の声を排除するものでもない。自分と話しをすることは、何よりも大事なのだということを伝えている。そうやって自分の生き方を選び取るのは、骨のおれること。でも、生きるということは、それなくしてはないのだと、この薄い本を閉じた時しみじみ思った。
しかし、表紙はないものとして読んだ方がいいと思う。どうしてこの物語にこういう絵がつくのだろう。残念。原書の表紙をみようとしたのだが、既に品切れ。


さかな
[Mail] GCD03013@nifty.ne.jp

$Id: books.cgi,v 1.42 2010/09/23 08:35:15 yasutaka Exp yasutaka $