読書日記(森で木が倒れるとき)
by 鈴木 宏枝
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森で木が倒れるとき(もりできがたおれるとき)
原題Silent to the bone読んだ日2001.12.4
著者E.L.Konigsburg(カニグズバーグ)訳者刀禰恭子、山本泰子、島式子画家(N/A)
出版社島式子出版年月日2001.9.11原作出版年2000
感想 『13歳の沈黙』が岩波から出ているけれど、マージナル・ピープルの会のオリジナル翻訳(学生さんに読ませるものらしい)を頂いたので、うれしくこちらを読んだ。
 カニグズバーグらしい端正で理知的な物語である。性的な目覚め、羞恥心からの怒りの沈黙。私もマーガレットと同様、ブランウェルに同情する。「食わせ者」ヴィヴィアンはひどいオーペアだけど、その彼女が気付かないところでだんだん推理され追い詰められていく過程が、読んでいてとてもおもしろかった。今回、いわゆる大人として出てくるのは、年齢的にはまだ若いマーガレット。声が出ないという心因性の疾患はもとより、カードを使ったり、人に会ったり。彼女とコーナーの積み重ねは、まさにカウンセリング的であり、こんなにケースがうまくいけばそれは物語にもなるさなあと思った。彼女たちは一つも失敗していなくて、しかもそのステップが、ちょっぴり複雑な家族関係をも好転させていっている。カニグズバーグの頭の中では、プロットもエンディングもきちんと整えられていて、すべてがよき決着を得られるように、まさに論文のように書き進めているのではないか。
 木曜日はコーナーのラッキーデーであること、象牙の彫り物と愛の関係(そんな比喩にすぐ気付くコーナー。なんとも知的な姉弟だ…)、沈黙のそれぞれの意味、大人のように喩えや「一句」を使うこと。きらっと光る個所がいくつもあって、リアルな子どもが描かれているのを楽しむと同時に、すごく端正すぎてもあるけれどと、ノドに骨をちょっと残しながら、いやいやこれがカニグズバーグのらしさじゃないかと、やっぱり満足して読み終わる。


鈴木 宏枝
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